2歳のファロー四徴症極型(VSD,MAPCA,PA)の子供を持つ親です。子供は現在1回目のUF手術を終わったところです。 最近、40度近い熱が出て、病院へ行ったところ血液検査でCRPが11と高かったため心内膜炎の可能性があるとして現在入院しています。抗生剤投与で直にCRPは下がり現在は10日目で0.3ぐらいになりました。病院で風邪をひいたりするのでなかなか正常値にはなりません。 ここで質問したいことはCRPの値だけで心内膜炎の可能性がどれだけあるかです。ちなみにCTやエコー、耳鼻科で見てもらったところその他の心内膜炎の症状はなく、熱が出たことと、CRPが高かったこと以外は特に症状はありません。子供に虫歯などもありません。 病院側は少しでも可能性があるので念のためにということで、その考えも分かるのですが、本当に心内膜炎かどうかも分からず、家族がばらばらで1、2ヶ月耐えるのにうちの妻はかなりナーバスになっています。 うちには8ヶ月の子供がもう一人います。祖母などに看病をお願いできない理由もあり、現在は妻と交互に看病しています。家に余裕があれば問題もないのでしょうが、本当に心内膜炎かどうかも分からずに、現在の生活に耐えるのが妻はかなり苦痛のようです。 血液培養やエコーで菌が見つかれば諦めもつくのですが。 病院にいても風邪をひいていては何のために入院しているのか分からない状態です。 CRPが高いのは確かに心内膜炎の要因の一つでしょうが、CRPだけで心内膜炎と判定するのは正しいのでしょうか? お忙しいとは、思いますができればお返事お願いします。 心疾患がある場合,心臓に感染巣がある,感染性心内膜炎であることが多いわけですが,感染性心内膜炎と診断するのに一番大切なのは,血液培養で菌が検出されることだと思っています.しかも1回では不十分で,2回,もしくは3回同じ菌が同定された場合に初めて感染性心内膜炎と診断して治療を開始します. しかし,最初に診察した時点で,例えば抗生剤の内服薬が投与されていると,血液培養検査で菌が検出されないことがあります.子供の状態が許す場合は2,3日抗生物質の投与を中止して,体から抗生物質が抜けてから血液培養検査をするのですが,子供の状態が悪い場合,そんな余裕がない場合もあります.この場合は,血液培養で菌が検出されていなくても感染性心内膜炎として治療を開始することがあります. この場合も,CRPだけで判断することはないと思います.心臓エコー検査で心臓内に菌の塊が見えていればほぼ間違いないのですが,お子さんのように,肺動脈を手術している場合は,そこに菌がついているかどうかは心臓エコー検査や他の検査では分かりません. ですから,例えば貧血がある,診察所見として肝臓,脾臓が腫れている,赤血球沈降速度という検査が異常値である,蛋白分画に感染性心内膜炎特有の異常がある,その他たくさんの所見を参考にして診断します. 以上が一般的な話です. お子さんの場合,この返事を読んで納得できるかどうかわかりませんが,ここに書いていることを理解された上でもう一度主治医の先生としっかり話をされてはいかがでしょうか. 6週間から8週間にわたる治療です.熱が下がってしまえばあとは本人はしんどいわけでもありませんし,とにかく家人にかかるストレスは大変なものだと思います. 見た目はとても元気なのに,点滴をし続けなければならず,その内,点滴を入れる血管もなくなってきて,点滴が腫れるたびに子供は痛い思いを何度もすることになってきます.われわれにとってもつらい病気です. しかし甘く見て中途半端に治療をやめると,頭に菌がとんで脳膿瘍などの重篤な合併症を引き起こすこともありますし,抗生剤による内科的治療で完治せず,心臓手術が必要になることもあります. 主治医の判断としても,感染性心内膜炎が確実とはいえないということであれば,一つの方法として,2週間ほどで1回抗生剤治療をやめてみて,再発しないかどうか1週間ほど経過をみる方法はあります.細菌が心臓や血管に残っている場合は,1週間から10日ほどで再び熱発しはじめます.感染性心内膜炎であれば,このときに血液培養を取ればほぼ確実に診断できます. しかし,それからまた改めて6-8週間治療が必要ということになりますし,抗生剤を中止している期間は,脳膿瘍などの合併症を起こす危険にさらされることになりますので,この方法をとるかどうかは,主治医とよく相談して,よくよく考えて判断するべきだと思います.
生まれたばかりのわが子(男)が小児科での診察で心音に異常から、「両大血管右室起始症」と診断されました。 担当医の話では、生後3ヶ月ぐらいで手術をすれば、その後数回の手術で完治するといわれました。 わたしたちには、その病気がどんなものなのか良くわかりません。その症状と治療方法について教えていただければ幸いです。 それから、その手術についてもどのぐらい大きなものになるか、生後3ヶ月ぐらいの新生児でも可能なものなのか教えてくださいよろしくお願いします。 お答え 両大血管右室起始という病気は、ホームページ上に載せていません。 なぜかというと、この病気は非常に多彩で、一人一人の形が異なり、それによって治療も違うため、一般的に説明をするのが困難だからです。 困難を承知で簡単に説明しますと、まず心臓内の修復が可能かどうか、が大事になります。きちんと四つの部屋に区切り直して、正常な血液の流れに戻せるかどうかということです。 可能であれば根治手術を目指します。不可能であればフォンタン型手術を目指して治療戦略を立てることになります。 つぎに肺に血液がたくさん流れるタイプか、肺に血液が少ししか流れないタイプかを考えます。 たくさん流れるタイプの場合は、流れすぎて呼吸がしんどくなったり、肺が痛んだりしますので、それを防ぐためにまず「肺動脈絞扼術」と呼ばれる手術をします。 肺動脈絞扼術も、シャント手術も、3ヶ月の子に十分可能な手術です。逆に3ヶ月の子供には、心臓の中を治すような根治手術はできないので、姑息的に心臓の外をさわって、根治手術までの時間稼ぎをする、というニュアンスもあります。 成長の過程でいろいろな判断をしながら、根治手術やフォンタン型手術が可能な年齢、体重になるのを待つ、というのがおおまかな流れになると思います。 お子さんについての症状や治療方法についての詳細は、主治医の先生に聞いてください。わからないことがある場合は、メモにでも書き出して聞かれてみてはどうでしょうか。 あれも聞きたい、これも聞きたいと思っていても、いざ診察になると何も聞けずに帰ってきてしまった、というのはよくあることです。
今月の10日に二番目の子供を授かりましたが、左心低形成症候群と診断されました、とても重い心臓病の一種と宣告され、とてもショックでした。 わずかな可能性を託して、ノーウッド手術を行う予定ですが、全国的に(病院にもよりますが・・・)どれだけの成功例が報告されているのでしょうか? 是非教えてくだされば幸いです。 お答え 左心低形成は、きわめて重症の疾患です。 具体的な成功例の数は把握していませんが、まったく望みのない手術ではないと私は思っています。 リスクが極めて高いことは主治医から説明されていると思いますが、治療しなければ100%亡くなってしまう病気です。 なんとか手術を乗り越えて、お子さんが元気に退院する日がくることをお祈りします。(H13.5) |
先日、子供が産まれましたが、出生直後からチアノーゼがひどく、すぐに専門病院に救急車で運ばれて、心臓の奇形と宣告されました。詳しい説明をしてもらったのですが、何せ気が動転していたのと専門用語の羅列でさっぱり把握出来ずに帰ってきてしまいました。先生も他の事でとてもお忙しそうで、ゆっくり説明をするのは手術が近づいたら・・との事でした。それで先生のHPを見つけ、担当医から説明を受けた事柄を必死に思い出し、藁をも縋る思いでこのメールを書いています。間違っている部分もあるかと思いますが、思い出す限りまずは書きます。 といったところです。 * この子の病名は何でしょうか。 お忙しい所、誠に申し訳ありません。妻は勿論、お互いの両親も泣くばかりです。こんな状態だからこそ、私も泣いてばかりいられません。しっかり勉強して周囲を安心させてあげなければと思っています。どうぞ宜しくお願いします。 お答え >* この子の病名は何でしょうか。 お子さんの疾患は、単一の診断名で説明できるものではないと思います。 簡単に説明すると、「単心室」とは、通常右心室と左心室という2部屋に分かれているべきなのに、右心室と左心室を分ける心室中隔という壁がないために、心室が一つしかない状態です。このために、黒い血液と赤い血液が混じってしまい、チアノーゼの原因となります。 2つあるべき部屋が1つしかなくて生きていけるのかと思われるかもしれませんが、これはとりあえずは大丈夫です。それよりも肺に血液が流れないことの方が、お子さんにとって、現時点では、命に直接関わる重要な問題です。ですから、まずは肺に血液が流れるように手術をしてあげるわけです。 >* この病気は珍しいのですか。また、この子は手術をすれば無事に生きていけるのでしょうか。 病気として、非常に珍しい、というわけではありません。私の病院にも、年に数人は入院されます。 >* 何歳くらいで手術は終わるのでしょうか。 最終的な手術はおそらくフォンタン型手術(link)と呼ばれている手術になると思いますが、この手術まで到達できるかどうかが一番の問題です。順調に到達できれば、2-4歳くらいというところでしょうか。様々な問題点が生じてこの手術まで到達できずに、チアノーゼを残したままで生活しておられる子供たちもたくさんいます。 >* 将来、ずっと病院に通う事になるのでしょうか。 通うことになると思います。1,2カ月毎の通院は必要だと思います。 >* 急に倒れたり、最悪、命を落としたりする事も考えておかなければなりませんか。 可能性はあります。頻度としては少ないですが、突然不整脈が起きて意識消失したり、最悪の場合は、シャントした血管がつまると、肺への血流が遮断されてしまい、この場合は突然死してしまいます。そういうことが起こらないように、血管がつまらないように薬を飲みながら通院することになると思います。 >* 成長と共に心臓も大きくなると思いますが、バイパスしたチューブはそのままなのでしょうか。 フォンタン型手術に到達できれば、シャント血管は取り除きます。到達できない場合は、シャント血管が命綱になりますが、成長とともに相対的に細くなってしまいますので、シャントの追加手術が必要になることもあります。 >* この子を育てていく上で、親が気をつけなければならない点などありましたら教えてください。 まずは退院までたどり着くことが大事ですが、退院後、とりあえず赤ちゃんの間の注意としては、風邪を出きるだけひかさない、外をあまり出歩かない、ミルクの飲みっぷり、顔色の変化、機嫌、体重の増え方に注意をする、といったところでしょうか。この辺も、退院するまでに、主治医の先生にしっかり話を聞いておくことは大事なことだと思います。 参考になるかどうか分かりませんが、とりあえず思いつくところを書かせていただきました。 心室が一つしかなくて、生きていけるわけがない、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。難しい病気ですが、なんとかフォンタン型手術まで到達して、元気に学校に通っている子もおられます。 今はどうしても悲観してしまう時期だと思いますが、気持ちをしっかり持って頑張ってください。(H13.2)
去年産まれた次男は重度の先天性心臓病を持って産まれてきました。 産まれた時から全身の色は悪かったのですが出産時のうっ血だろうと言う事でそのうち良くなると説明を受け出産から6日めに無事退院しました。 二十日ほどして風邪症状で小児科に行った所,色の悪いのを指摘され小児循環器科のある病院をその日の内に受診し検査の結果入院そして心臓カテーテルの検査で病名は(左室低形成,肺動脈閉鎖,両大血管右室起始症,心内膜床欠損症,動脈管開存症)といわれました. 病院に行ったときは動脈管もほとんど流れておらずあと1日発見が遅れてたら助からなかったかも知れないと言われました。 その後シャント手術をし現在は酸素80%をたもっています。 現在は自宅で普通に生活していますが退院時の説明では 肺動脈か1ヶ所狭くなってるのでその経過を見ていくのと1つしかない弁から少し逆流があるので増えるようなら手術が必要かもと言われました。今3ヶ月ですが,今の所悪くはなっていないようです。条件がそろえば1歳を過ぎてから2回に分けてフォンタンを目指すといわれています。 質問1)左室低形成はかなり難しい病気だと聞きましたがさらに複雑のようにおもいます。単心室の方法でのフォンタン手術ができるのでしょうか? どのような手術になるのでしょうか? 質問2)出産してすぐ判る病気ではないのでしょうが?総合病院での出産でした。 この子と会えて良かった 可愛くて仕方がありません でも本当につらいのはこれからだと思います。だからもっと強くならないと・・・小さな心臓で頑張ってるそう思うとどうしても涙が止まらなくなってしまいす でもこの子は生きる為に産まれてきた.だからぎりぎりの所で病気も見つかったんだ そうおもっています。よろしくお願いします. お答え お話から想像するに,お子さんの病名は,「左室低形成」ではなく,「左心室低形成」ではないかと思われます. 「左室低形成」というのは,左心房も左心室も,そこからでる大動脈もすべて小さい,細い,低形成だ,という病気で,これは極めて重篤な疾患です.現在の医療レベルでも手術して助からない赤ちゃんがまだまだたくさんいる病気です. おそらくお子さんの場合は,「左室低形成」という大動脈が極めて細い病気ではなく,「左心室は低形成だが,大動脈は太いしっかりした血管があって,それが右心室から出ている」のだと思います. この場合は,「左室低形成」という病気とは全く違います.重症な心臓病であることにかわりはありませんが,「左室低形成」のような最重症疾患ではありません. 簡単にいえば,「単心室,肺動脈閉鎖」という病名と同じです. 将来的には,肺動脈の状態が許せば(肺動脈が十分太く,十分圧が低ければ),フォンタン手術は可能だと思います. >出産してすぐ判る病気ではないのでしょうが?総合病院での出産でした。 生まれてすぐに確実に判る病気ではありません.例えば弁の逆流が多いなど,心臓の機能に問題があって,生まれた直後から状態が悪ければ,すぐに発見されることもありますが,二十日ほどして発見されたということは,それだけ赤ちゃんの状態が良かったのだと思います. なんですぐにわからなかったんだ,とお思いになる気持ちはよくわかりますが,二十日間わからなかったほど,元気な生命力をもって生まれてきてくれたんだ,と思って前向きにとらえていただければと思います. 発見が早ければ,何かもっとよいことが出来た,ということはないと思いますし,生まれてすぐにみつかるような悪い状態であれば,逆に手術もうまくいかず,今の元気な姿もなかったかもしれません. 後一日遅ければ,といわれれば,なぜもっと早くわからなかったのか,と思うのは当然ですが,この病気は,心臓がしっかりしていれば,動脈管が次第に閉じてきて,顔色が悪くなってきて機嫌が悪くなってきて,初めて発見されることは決して珍しくありません. これからも,大変だと思いますが,私がみている赤ちゃん達のお母さん方も,最初は泣いておられますがみなさんしっかりされて,頑張っておられます. 気持ちをしっかりもって,育ててあげてください.(H14.3) |
類洞交通を伴う肺動脈閉鎖でフォンタン手術は無理だと言われたが。。。 うちの娘は出生6時間後に強いチアノーゼが出て、類洞交通を伴う肺動脈閉鎖症と診断されました。カテーテル検査の結果は、将来もフォンタン手術は無理ではないかとのことで、2ヶ月目にBTシャントをしてもらい退院しました。冠動脈にただでさえ酸素飽和度の低い血液のしかも静脈血が流れ込んでいて、心不全症状をいつも心配しているのですが今のところは大丈夫とのことです。 最近は左心低形成でも早期に心内修復して成績がよくなっているという話もあって、うちのような症例も何か手があるのではないか。単純に手をこまねいて心筋が弱っていくのを看過していていいのだろうかとか気をもんでばかりいます。 自分でも手がかりがあればそういった症例を手術例を探してみたいと思っているのですが、まったく知識がないので手がかりすらありません。もしもそうした症例(手術例)をご存知であれば、もしくは探す手がかりをいただければ自分でも探してみたいと思っていますので教えていただけないでしょうか? お答え フォンタン手術というのは、心内修復ができない心臓病のこどもに対して、チアノーゼをなくすためにする手術のことです(link)。フォンタン手術ができるかどうかということは、冠動脈がどうなっているかということとは普通は関係ありません。フォンタン手術をするためには様々な条件がありますが、一番大事な条件は、肺動脈が十分「太くて」「圧が低い」かどうかです。この二つの条件が満たされれば、基本的にはできるはずなのですが、どちらかが適合していないのでしょうか。 肺動脈が現時点で細すぎる、ということならば、BTシャントにより太くなる可能性はあります。しかし、太くなったはいいが、肺動脈の圧もあがってしまった、という場合は、やはりフォンタン手術はできない、ということになります。 フォンタン手術ではなく、心内修復手術(肺動脈閉鎖を直して、右心室から肺動脈に血が流れるようにする手術)が出きるかどうかは、冠動脈の形態にかかってきます。これはお話から察するに、類洞交通が大きいために無理なのだと思います。 冠動脈に酸素飽和度の低い血液が流れることにより、心不全になることは、普通はないと思います。 それよりも、この病気で大変なのは、チアノーゼです。フォンタン手術ができなくて、重度のチアノーゼが何年も続く場合、それによる様々な合併症が起こります。風邪などの感染症がすぐにこじれて肺炎や脱水になりやすいですし、脳膿瘍、脳梗塞、感染性心内膜炎といった病気になる確率も高くなります。 手術に関しては、類洞交通が大きくて心内修復手術が不可能な場合は、やはりフォンタン手術ができるかどうかにかかっていると思います。なぜフォンタン手術が無理なのか、その理由をまずは正確に知ることが大事だと思います。 例えば、「肺動脈が細すぎる」というのが理由であれば、BTシャント手術をして、肺動脈が太くなるのを待つ、という選択をすることになります。その結果、フォンタン手術が可能になるかどうかは、最低1年は待たなければ、わかりません。多いときには1年ごとにでもカテーテル検査をしながら、フォンタン手術ができるような状態になんとかもっていこうとする、のがフォンタン手術を目指す心臓病のお子さんの治療の考え方です。 手術例に関しては、根治手術とフォンタン手術以外に私が知っているものはありません。ご自分でお探しになるのであれば、私のホームページのトップからリンクが張ってあるPubmedというデータベースで、類洞交通(sinusoidal communication)、肺動脈閉鎖(pulmonary atresia)といったキーワードで検索すれば、たくさんヒットするとは思います。 メールに書いておられる左心低形成も、心内修復するわけではなく、いくつかの手術を行った後、最終的にフォンタン手術をしてチアノーゼがない状態にしています。お子さんの場合も、いかにフォンタン手術ができるようにするか、にかかっているように私には思えます。 |
私の子供は今3ヶ月で生まれてすぐ救急車で今の病院に運んでいただきました。 最初にブラロックトーシッヒ短絡術をしました。手術してから左の横隔膜が動いてなく上がったままで、肺が縮まったままです。右側に血液が上手く流れず酸素濃度も70%くらいで術後もずっとプロスタを使い酸素をつけたままで、再手術になりました。 短絡術をした後横隔膜が動かなくなったり肺動脈蝶形狭窄になったりする事は、よくあるのですか? 術後1ヶ月たった今も泣き声が手術前みたいに大きな声で泣かないのですが、それは問題ないですか、大丈夫ですか? 今回手術をしたらちゃんと横隔膜、肺は動き出すものですか? 2歳ごろ根治手術をしたら、普通の人のように生活出来て死という恐怖は、ありませんか? 家の子の病気で身体障害者手帳はもらえるものでしょうか? お答え >短絡術をした後横隔膜が動かなくなったり肺動脈蝶形狭窄になったりする事は、よくあるのですか? 今回手術をしたら、ちゃんと横隔膜、肺は動き出すものですか? これは時に経験します。肺動脈狭窄はよくあるファロ−四徴症術後の問題点です。最近は、カテーテル治療で治療します。 横隔膜麻痺は、「よく」はないと思いますが、時々あります。横隔膜の機能は回復することもありますが、回復しないときは、再手術が必要になることもあります。 >術後1ヶ月たった今も泣き声が手術前みたいに大きな声で泣かないのですが、それは問題ないですか、大丈夫ですか? 特に人工呼吸器を付けている期間が長いあかちゃんは、声がかすれてなかなか大きな声が出ないことはよくあります。声帯が全く動いていないようなら問題ですが、その辺りはきちんと検査させていると思います。声帯に問題がなければ、数ヶ月かかって治ってくることが多いと思います。 >2歳ごろ根治手術をしたら、普通の人のように生活出来て、死という恐怖はありませんか? これは根治手術が終わった後の状態によります。手術がうまくいけば、今感じておられる直接的な死の恐怖は遠のくと思いますし、普通の人とある程度同じように生活することはできると思います。ただし学校生活における運動に関しては、体育会系クラブ活動やマラソンなどはやめといた方がよいという運動制限がおそらくかかると思います。 手術を受けた心臓で生きていくわけですから、あまり無理せず、心臓を大事にしてあげる気持ちが必要だと思います。 >家の子の病気で身体障害者手帳はもらえるものでしょうか? これも手術後の状態によります。また交付されるのはお子さん本人です。 例えば手術後、永久的にペースメーカーが必要な状態になった場合は、本人に身体障害者手帳が交付されます。 |
私の甥は現在生後3ヶ月ですが、先日病院で心臓に穴が開いていると言われました。 右心房と左心房の間の壁に1.5cm以上の穴が開いており、穴の下辺りに左心房を上下に分けるような膜が張っている三心房心という病気だそうです。 その膜には穴が開いているので左心室に血液は流れるのですが、穴があるため右心房の方に血液が多く流れてしまっているようです。そのために右心房、右心室に負担がかかり、肥大してしまっているようです。そして肺に行く血液が多いため肺に血液がたまり、肺静脈の血圧が高くなってしまっている状態です。 お医者様によると、穴だけならそれほど急がないらしいのですが、その膜があるために手術を急ぐらしいのです。輸血も必要だと聞いています。 この場合の手術は危険なものなのでしょうか? また、術後は普通の子と変わらないくらいになるのでしょうか? お答え 三心房心という病気は、左心房に隔壁があって、左心房が二つに分断されている病気です。隔壁には通常穴が空いていてそこを血液が流れるのですが、その穴が狭いと肺静脈がうっ滞して、呼吸がしんどい状態になります。心房中隔欠損と合併していたり、肺静脈の環流する位置がいろいろあったりして様々なタイプがあります。子供の心臓病の中でも珍しい病気です。 重症の場合は肺静脈の血流がうっ滞して、肺高血圧になり、呼吸がしんどい、ミルクが飲めない、体重が増えない、肺炎、気管支炎ばかり繰り返していつもゼーゼーいっている、などの症状が出ます。 いつ手術するかは隔壁による狭窄の程度、症状の程度により、赤ちゃんで手術をする人から大人になって発見されて手術をする人まで実に様々です。 甥っ子さんの場合は、生まれて数ヶ月で手術せざるをえない、ということからしても、ある程度の危険は覚悟しなければいけないと思います。命の危険も絶対ないというわけにはいかないと思います。 赤ちゃんの握りこぶし程度の心臓のなかの小さな隔壁を取り除こうという手術です。心臓は止めてしまわなければいけません。その間、頭や体に血液を保つために人工心肺という、人工心臓のような装置も必要です。その機械を動かすためにも、生後3ヶ月だと輸血はおそらく必要だと思います。 術後、普通の子と変わらないくらいになるかどうかは、手術の結果によります。大きな合併症を残すことなく手術ができて退院できれば、胸に傷があるというだけであとは本当に普通の子と変わらない生活をしている人はたくさんおられます。 しかし、術後に狭窄を残したり、いろいろな合併症が残った場合は、「普通の子と変わらない」というわけにはいかないこともあります。 しかし手術をする時機を逸すると、肺高血圧が残ってしまい、ちょっと走ったり、階段を上ったりしただけで、息がしんどくなってしまうなどの症状が残ってしまうこともありえます。 手術が必要な時期をしっかり主治医に見極めてもらって手術してもらうことが大事だと思います。 甥っ子さんの手術が無事成功することをお祈りしています。 (H11.3) |
現在小学4年生、10才になる息子のことで お聞きいたします 現在の時点で、心カテーテルの検査は本当に必要なのでしょうか? お答え 心臓カテーテル検査が必要かどうかは、ここで私が判断することはできません。 元気だからといってこのまま放置した場合、お子さんが30歳、40歳になって初めて、心室中隔欠損の症状がでてくる可能性があります。 心臓エコー検査は、心臓の中のことは分かりますが、肺が痛んできているかどうかということに関しては、あまりわかりません。肺が痛んでいないかどうかという判断に重要なのが、胸部レントゲン写真であり、心臓カテ−テル検査なのです。 昔は心室中隔欠損の患者さんのほとんどは心臓カテ−テル検査を受けていました。しかし最近は、心臓エコーの機械が発達していて、孔が小さい場合はカテーテル検査をしない場合もあります。現在は、心室中隔欠損の子でカテーテル検査を受ける子は減ってきています。しかし、エコーでは判断がつかない場合もあるのです。 エコーで手術が不要だと判断できる場合は、私も不要な被曝のあるカテーテル検査は行いません。しかしエコーや胸部レントゲン写真、心電図だけでは判断に迷う場合は、カテーテル検査を勧めます。 心臓カテ−テル検査をしてみて、思ったよりも孔が小さくて、肺も痛んでいなければ、このまま一生手術しないでも大丈夫だろうと予測できますし、思ったよりも大きくて、肺が痛んできている場合は、今は見た目は元気でも手術しておいた方がよいということになります。 お子さんの場合、どの程度の孔なのかわかりませんが、見た目が元気だからといって、カテーテル検査が不要だということにはなりません。専門医がした方がよいといわれるのなら、した方がよいと思います。 レントゲンに対する拒絶反応が非常に強いようですが、白血病などのリスクを心配されているのでしょうか。 胸部レントゲン写真に関しては、レントゲン被曝量はきわめて微量で、何百枚とってもそのようなリスクはほとんどありません。 不要なレントゲン検査はいけないと思いますが、心室中隔欠損の場合は外来毎のレントゲン検査は必須だと思います。心臓エコー検査や心電図ではわからない心臓や肺の状態に対する情報が得られます。 カテーテル検査での被曝量は、胸部レントゲン写真よりはずっと多いですが、1回のカテーテル検査で、白血病などの被曝による合併症をきたすこともまずありません。毎日毎日、何年間もカテーテル検査をしている我々の方がはるかに被曝量の蓄積は多大ですが、そのような合併症はありません。 カテーテル検査をしてみて、手術しないで大丈夫と言われれば、残りの人生は安心して過ごせると思います。 そこまで理解されて、それでもカテーテル検査やレントゲン検査は嫌だといわれるのであれば、医者も強要はできません。親の責任で後は対処していただくことになると思います。 メールから判断するに、一度も子供の心臓病の専門医には診てもらっていないようですから、一度、専門医に診てもらって、カテーテル検査が本当に必要かどうか判断してもらってはどうでしょうか。不要だといわれる可能性もあると思います。一度受診されることをお勧めします。(H13.5)
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1歳の娘がいます。心室中隔欠損と診断されて、現在強心剤、利尿剤の薬を飲んでいます。現在は強心剤のかわりにレニベースという薬を飲んでいます。 お答え 薬の使用説明書をみると副作用としてありとあらゆる臓器に障害が出る「可能性がある」と書かれています。それが一万人や十万人に一人の確率であっても、書いてあるものなのです。どんな薬でもいろいろな臓器に副作用を起こす可能性はあります。ですから薬を内服中に他の臓器に問題が出た場合は、薬の副作用の可能性が絶対にない、とはいえないものだと私は思います。 しかし、私もたくさんの赤ちゃんにお子さんが使われている薬はたくさん使ってきていますが、実際に血小板が減少した子はみたことがありません。薬を使っていく上で注意が必要な、比較的頻度が多い副作用というのが各々の薬にあります。 例えばレニベースなら空咳が多いとか、喉が腫れる血管浮腫という副作用が起きることがあります。利尿剤なら脱水、強心剤も飲み方を間違えると中毒症状が出ることがあります。しかしこれらの薬で血小板減少に注意しなければいけないという話はあまり耳にしません。 私がお子さんの主治医の立場だとしても、薬の副作用の可能性は低いとお話しするかもしれません。しかし可能性は絶対ない、とはいえません。 強いていうならば、途中から始めたというレニベースが怪しい可能性はあるかもしれません。 これを確かめるにはレニベースとプレドニンを中止して、血小板の値がどうなるか確かめなければいけませんが、これはお母さんの判断でするのは極めて危険です。そんなことをしてみる意味があるのか、必要があるのか、主治医の先生と、よくよく相談してください。 納得した上で治療を受けることは大事だと私は思います。 |