心房中隔欠損の娘(1歳)を持っています。 カテーテル手術については、臨床実験が終わっていると聞きましたが、近いうちに実施できるようになるのでしょうか。また、リスク、確実性等は開胸手術と比べていかがなものでしょうか。カテーテルの手術については、「かさ」のようなものをかぶせる方法があるが、ズレたりするというような話も聞きました。 症状によって違うと思いますし、認可については国が決めることなのでしょうが、もし、医学業界での一般的な見解のようなものがありましたら、教えていただけますでしょうか。 カテーテル治療は、特に最初は、ある程度のリスクはあると思います。 また、心房中隔欠損のお子さんならどんな子でもカテーテル治療で治せるというものではありません。 リスク、確実性で言えば、開胸手術の方が有利だと思います。これまでの実績と経験が段違いです。 特に女の子の場合は、このデメリットは大きいと思いますし、できるなら、カテーテル治療を待ちたいと思うのは当然のことだと思います。 外国では、心房中隔欠損に対するカテーテル治療はどんどん行われていますし、日本でも経験をつむにしたがって、開胸手術に匹敵するリスク、確実性が得られるだろうと期待しています。 お子さんがカテーテル治療を受けられるかどうかという問題については、1歳でカテーテルをおこなって、手術が必要だと言われるようなら、孔もおそらくかなり大きくて、肺に流れている血流量もかなり多いのだろうと思います。その場合、例えば来年からカテーテル治療が可能になったとしても、お子さんがカテーテル治療の対象となるのは難しいかもしれません。 心房中隔欠損に対するカテーテル治療が始まっても、特に初期の段階では、おそらく4,5歳くらいの、あなの小さな子供たちが対象になるのではないかと思っています。(H133.5) 長女が3歳で心房中隔欠損と診断されました。今5歳です。カテーテル検査では、あなの位置が特殊で、肺静脈にも異常があるといわれました。不整脈もあり、来月手術をする予定ですが、とても不安です。 この病気の手術の成功率はどれくらいなのでしょうか。輸血は必要なのでしょうか。手術が成功すれば元気に走り回れるものなのでしょうか。医療事故で脳障害が起きた話など聞くと心配でたまりません。 お答え 一般的には、心房中隔欠損の手術に関しては、心臓の手術ですから絶対ということはありませんが、命を失う心配は今の時代、まずありません。不整脈が残る心配をするくらいでしょうか。不整脈は手術の出来不出来とは関係なく、残る人は残るし、残らない人は残りません。体質のようなものです。残った場合は薬を飲むなどの治療が必要になることも稀にはあります。 体重が十数kgあれば、輸血は不要なことも多くなってきています。もちろん緊急で必要な場合はあります。輸血するかもしれないとは、思っておかなければいけません。 お子さんの場合、少し穴の位置が特殊なようですし、肺静脈の問題もあるとのことですが、大まかには上に述べたことが当てはまると思います。 心配なのは親として当然です。医療ミスの問題も不安をあおることは分かります。しかし、手術をせずに放っておく訳にはいかない病気なのも間違いないことなのです。5歳で手術というのは、この病気では一般的な年齢です。 無事手術が終わって一ヶ月もすれば、お子さんが何事もなかったように元気に走り回っておられることをお祈りします。 生後10ヶ月になる男児の母です。生後3ヶ月で心房中隔欠損と言われました。当初は孔の大きさは9mmぐらいで、肺にかなり多くの血液が流れているので手術は2歳までにはしなくてはいけないと言われていました。 が、最近の検査で孔の大きさが20mm以上で心臓の右側がかなり大きくなっているそうです。このまま放っておいても良いことは無いし、今度の冬が厳しい(今までにも4回ほど風邪がひどくなって入院しました)と言われ11月頃に手術をすることになりました。 この病気とわかってからいろいろ調べたのですが、心房中隔欠損は症状がでないと書いてあります。でも、うちの子は確かに見た目は元気ですが呼吸はかなり荒いです(胸がへこみます)し、成長も遅いです(今やっと7キロです)。動きも他の子に比べると少ないと思います(個性の範囲かもしれませんが)。 急に心不全になったりしないのでしょうか。よろしくお願いします。 お答え 「心房中隔欠損は症状が出ない」とはいえません。「出ないことが多い」というのが正確な表現だと思います。お子さんのように、穴が大きくて肺に行く血流が非常に多い場合は、心臓と肺との間で血流が空回りしてしまい、心臓がオーバーヒートしてきます。これを心不全と言います。心不全というとすぐに死んでしまうようなイメージがわきますが、このような心臓がしんどい状態のことも心不全と呼びます。 呼吸が速くてしんどそうとか、すぐに風邪をこじらせる、体が大きくならない、やせている、といった症状が心房中隔欠損の赤ちゃんの心不全の症状です。 心不全症状のない「心房中隔欠損」のお子さんであれば、3,4歳から小学校入学前後くらいで手術をするのが一般的だと思いますが、心不全症状がある場合には1歳前後で手術が必要になることもあります。 お子さんはおそらくこのケースに当てはまっているのだと思います。 心不全症状が強いときは、ジゴシンという強心剤を飲んだり、肺のむくみをとる利尿剤を飲んだりします。 心房中隔欠損の心不全が急激に進行して、突然死に至るというような悪くなり方をすることはまずありません。 しかし風邪がこじれたりすると、それがきっかけで状態が悪くなる可能性はあります。しっかり定期的にみてもらうことと、風邪をひいたときは早めに診てもらってこじれないように注意することは大事だと思います。(H11.7) 小学1年生の娘のことで質問します。小学校の検診で心房中隔欠損と診断され、重いほうで、手術の必要があると説明されました。 心房に10ミリの穴があいているそうです。これくらいの穴で、手術の必要性がどれぐらいありますか? 見た目はとても元気です。本当に手術が必要なのでしょうか。教えてください。 お答え 心房中隔欠損は、特に小学生で見つかった場合は、閉じることはほとんど期待できず、手術が必要なことが多い病気です。 全く元気なのに、どうして手術しなければいけないのか、と思われると思います。しかし、ほっといた場合、30年40年たって症状が出てくる病気で、症状が出てからでは、手遅れになってしまう病気です。 手術が必要かどうかは、穴が何mmあいているかということだけで決まるものではありません。どれくらい肺に血液が余分に流れ込んでいるか、が大事です。人によっては、一分間に体に流れる血液の2倍、3倍もの血液が肺に流れ込みます。今は元気でも、30年もたつと肺はぼろぼろになってしまいます。ぼろぼろになって、しんどくなってそれから心臓の穴を閉じても、もうぼろぼろになった肺は元には戻りません。だから症状のない子供の内に手術が必要なのです。 かといって、穴が小さければ手術が必要ない人もおられます。手術するかどうかは一人一人に対して総合的に判断するものです。肺にどれくらいの血液が流れているかは、カテーテル検査という入院してする検査で調べます。エコーや他の検査である程度推測することもあります。 10ミリというと、一般的には手術は必要だと思います。専門医から重いほうだといわれたなら、手術は必要なのだろうと思います。 あわてて手術する必要は普通はありません。今小学1年生なら通常は1,2年くらいの間にしたほうがいいという感じでしょうか。 いつ手術するべきかは一人一人で違います。主治医の先生から、なぜ手術が必要なのか、いつするのがいいのか、しっかり話を聞いて納得した上で治療を受けて下さい。 6ミリの心房中隔欠損は閉じますか? 3ヶ月になる私の子が、1ヶ月検診で心臓に雑音があると言われ検査していただいた結果、心房中隔欠損と診断され6mm程の穴があいているといわれました。 半年後もう一度検査して様子を見るとのことでした。穴が1年以内に小さくなる確率はどの程度あるのでしょうか?又、6mmの穴は大きい方なのでしょうか? ミルクも普通に飲み大きくなっています。 お答え 6カ月未満で心房中隔欠損と診断された場合、1歳から2歳で自然に閉じてしまう子と、自然に閉じることなく、逆に穴が大きくなっていって手術が必要になる子がいます。 もともとお母さんのお腹にいるときには、全ての赤ちゃんで心房中隔に穴が空いています。これを「卵円孔開存」といいますが、これは全ての赤ちゃんに空いているわけで、病気とはいえません。ほとんどの子は生まれて数日で閉じてしまいますが、時々6カ月から1,2歳まで空いている子がいます。これは自然閉鎖が期待できます。 まったく閉じることなく、逆に体が大きくなって心臓も大きくなるに従って、穴も大きくなる子もいます。こういう子は手術が必要になります。 >半年後もう一度検査して様子を見るとのことでした。穴が1年以内に小さくなる確率はどの程度あるのでしょうか?又、6mmの穴は大きい方なのでしょうか? 1カ月で6mmというのは、大きい方だと思います。しかし大切なのは穴の「空き方」です。6-8mmでも閉じてしまう子もいますし、最初は3,4mmしかなかったのにだんだん大きくなる子もいます。 お子さんの場合は、次の検査や1歳過ぎの検査が大事だと思います。そのころになってもまだ大きく空いているようならば、自然に閉じる可能性はかなり低くなると思います。 穴の空き方によって、閉じる可能性が高いとか低いとかいうことはできますが、一概に「確率」がいえるものではありません。 |
「卵円孔開存」と「心房中隔欠損」はエコーでわかることもありますが、どちらか判断に迷うこともあります。「心房中隔欠損」だと思っていても閉じてしまうこともあります。 ですから、1,2歳の頃のエコーが大事だと思います。 >ミルクも普通に飲み大きくなっています。 手術の後の傷は、最近はだいぶ小さくなってきています。形成外科の技術も進歩してきてだいぶ目立たなくすることはできるようですが、跡が残ることにかわりありません。 |